大学受験生を持つ保護者、家族、親の心得や子供との接し方、アドバイスなど、実際に体験されたかたの体験談を集めました。
神戸市に住む男性です。
娘が大学受験をした際の報告をいたします。
娘は子供の頃から俳優志望でした。
ただ、アイドル的な俳優ではなく、どちらかと言うとシリアスなドラマに出てくる脇役の様な役柄につきたいと考えていたそうです。
ですので、小学校に入ると同時に演劇の学校に通い始めました。
しかし、やはり一般的にはアイドルを育てるのが学校の目的ですから娘の考えとは一致せず、絶えず不満を募らせていました。
そして、高校2年の時、娘から正式に「私の望む俳優になるために、演劇専攻がある大学に入りたい」と私たち親に申し入れして来ました。
娘は高校を出たら劇団に入ってプロを目指すと言っていたため、私たちはたいそう驚きました。
ただ、演劇専攻の学部がある大学は限られており、どれも私たちの家から遠く、どこを選んでもやはり女性ですから一人暮らしは心配だとも言っていました。
私たち親としても同感で、確かに志望の動機もよくわかるが、一人暮らしは心配だと、まず第一回目の娘との話は断ち切れになりました。
しかし、やはり夢は捨てきれなかったのか、再度私たち両親を前に「やっぱり東京の○○大学に行きたいと娘は宣言しました。
その大学は日本でも屈指の難関大学でした。
娘の志望大学を聞いたのはその時が始めてでしたので、まったく知識はありませんでした。
娘に言われて改めてインターネットで調べました。
私たち親は反対してよいのか悩みましたが、何よりもやはり娘の考えが優先だとOKを出しました。
そして、すぐに娘は予備校に通い出しました。
しかし、本格的な受験勉強はしていなかったため、かなり苦労をしたようでした。
ただ、成績はぐんぐん伸びて行き、娘には失礼かもしれませんが、これはもしかしてあの有名大学に受かるんじゃないか、そう思い始めました。
昔から娘は高校を出たら劇団に入ってプロの道を目指す、と言っていましたので、大学受験はまったく頭になく、もちろん、その資金も用意をしていませんでした。
ほどなく、妻がパートに出てその資金に当てる事になりました。
しかし、パートの給料だけでは到底ムリです。
私もなるべく残業をしたり、いらぬお金を使わないようにして、こつこと受験のための経費つくりにいそしみました。
しかし、やはりあまりにも急だったため、結局は銀行で入学資金のほとんどを借入することになりました。
残念ながら娘は志望校に合格出来ずでした。
が、演劇専攻のある××大学に受かり、今は一人で大学近くのワンルームに住んでいます。
時々、娘からは連絡があります。
やっぱり大学に入ってよかった!
今までの劇団での教え方とはぜんぜん違う。
今までは本当に基礎を学んでいなかったことがよくわかった!
そんなメールを見て、やはりあの時、反対をしなくてよかった。
娘の進むべき道をあとおししてやってよかったと思います。
反対に辛いのは、やはり娘が親元を離れてしまったことです。
普段、家にいると文句ばっかりでけんかばかりしていましたが、いざ、いなくなるととても寂しいものです。
時折届くメールが何よりの心の安らぎになります。
私の娘は志望大学に受かりはしませんでしたが、受験期間中はそれはそれは必死でがんばっていました。
あんなに娘ががんばっているのを見たのは初めてでした。
大好きな演劇の頂点の学校に行きたい。
そんな思いで必死になっていたのだと思います。
それを見ただけで私たちは本当にうれしかったのを今でも思い出します。
やはり、子供と言っても一人の人格がある人間です。
やりたい事をことごとくダメだと言っては、いつまでたってもがんばらなかったでしょう。
受験と言うひとつのターニングポイントがきっと娘を強くしてくれたと思います。
これから子供さんが受験をするお父さんやお母さんの中には「そんな大学受かりっこない」とぴしゃりと子供さんの考えを押さえつけてはいないでしょうか?
私たち一家は、今は遠く離れていますが、あの受験と言う場面でひとつに繋がったような気がしています。
子供さんの言い分も聞いてあげてくださいね。